映像京都作品。谷口登司夫の編集。
七衛門の首 極限状態なのに、なぜか笑える!ヤングシナリオ大賞特別賞脚本をナンチャン主演で。
(しちえもんのくび) 1993年戦国時代。三輪軍の総大将・三輪正則(火野正平)は、ついに禿(かむろ)軍の城を落とした。勝利の喜びも束の間、肝心の禿の主・禿七衛門の首がないにの気づく。
その混乱の中、引き上げる三輪軍の兵に混じって、禿の残兵・孫(南原清隆)が重い足を引きずっている。負け戦も情けないが、もともと百姓で戦なんかに行きたくなかった孫だが、とうとう三輪軍に捕まってしまう。
しかし、孫は、落ちこぼれ侍(石橋蓮司)と組んで、「七衛門の首」を使って、したたかに生き延びる術を考える・・・。
戦国ものらしい荒涼とした場面もあるが、どこかユーモラスで、風刺的でもある。脚本は、フジテレビのヤングシナリオ大賞で特別賞を受賞した作品。その作家、早野清治はかつて黒澤明監督の「乱」で、助監督を務めた人でもあるという。さすがに戦国にうごめく人間の描写がうまい。
特筆すべきは、主演の南原清隆の熱演。時代劇出演は本人の希望であったという。その後、バラエティでは落ち武者風ゲームなどもやってるし、意外に時代劇好きだったのか・・・。
カッコよくやっつけるだけじゃなく、ユーモアセンスのあるヒーローは時代劇に不可欠。再びの出演を望みたい。
一時間に悲劇も喜劇、笑いも皮肉も込められた濃い内容。短編の面白さはここにある。七衛門の首 極限状態なのに、なぜか笑える!ヤングシナリオ大賞特別賞脚本をナンチャン主演で。|365日時代劇だけを放送する唯一のチャンネル時代劇専門チャンネル
平成5年3月3日20:00~20:54放映
脚本=早野清治 監督=原田徹 挿入曲=ライ・クーダー 撮影=矢田行男 プロデューサー=小川晋一、高橋松徳、酒井実 製作=映像京都出演=南原清隆(孫)、石橋蓮司(柄本又七)、火野正平(三輪正則)、井川比佐志(井細田三郎四郎)、花沢徳衛(井村朝次)、加藤武(小清水伝八郎)、三谷昇(村岡宗右衛門)、塩見三省(佐々助八左衛門)、佐川満男(皆川兵庫)、渡辺哲(横田宗十)、趙方豪(藤三郎太)、山本耕史(伊藤九郎)、神戸浩、國村隼(原田賀茂)、妹尾和夫(兵F)、久賀大雅、諸木淳郎、荻原郁三、小船秋夫、八下田智和、北斗辰典
【解説】面白いとぼけた雰囲気
フジテレビ主催の第5回ヤングシナリオ大賞特別賞を受賞した作品をドラマにしたもので、はつらつとした新感覚の時代劇に仕上がった。
農民で戦に駆り出された主人公・孫を演じるのが「ウッチャン・ナンチャン」のナンチャン・南原清隆。
時代劇は初めての南原だが、何となくこっけい味を感じさせるストーリーが合ったようで、下級武士役の石橋蓮司を相手にのびのびとした演技を見せてくれる。
時は戦国時代。三輪正則(火野正平)は、禿七衛門の山城を攻めた。禿の抵抗は予想以上でいらだつが、ついに落城させた。
正則は、七衛門の首をとった者を第一の手柄としていたために、部下たちが二つの「七衛門の首」を持ち込んできた。
禿方の雑兵・孫(南原)は、三輪方の柄本又七(石橋)に捕らえられ、本物の七衛門の居場所を三輪方に教えたのだが──。
禿方には、大変な奇策があり、さらに農民・孫のほうが一枚上手だったことが最後にわかる。リアルでありながらどことなくとぼけた雰囲気が面白い。(鹿)【朝日「試写室」より】
◎「ドラマ」(1992年9月号)に脚本掲載。その後の 時代劇スペシャル