映像画日記

絵と映画と読書 の記録

韓国映画の俊才、ポン・ジュノについて





ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判 3 (映画秘宝COLLECTION 37)

ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判 3 (映画秘宝COLLECTION 37)



「ファビュラス・バーカーボーイズの映画欠席裁判3」(洋泉社)のなかで「グエムル」についてガース柳下柳下毅一郎)氏が

黒澤清ポン・ジュノの感覚って似てるんですよ」

と話している。
他に

ポン・ジュノ監督は「ゴジラ」も「ウルトラマン」も観てないんですよ。韓国ではずっと日本の映画やビデオが禁じられてたから」

とも語っているが、これは同じく洋泉社から後年出版された「映画秘宝ex 映画の必修科目02 激辛韓流映画100」のなかで尾崎一男氏が

「(監督は)AFKM(米軍専用放送局)が流していたゴジラウルトラマンを子どもの頃によく観ており、その体験が怪獣映画を撮ることへの土台となっていったという。」

と書いている。

映画秘宝EX 映画の必修科目02 激辛韓流映画100 (洋泉社MOOK)

映画秘宝EX 映画の必修科目02 激辛韓流映画100 (洋泉社MOOK)


グエムル」については両氏が言及しているとおりスピルバーグへの目配せがあり、本人も影響を認めているところだ。
ただポン監督の創作のベースには日本のサブカルチャー要素が強いようである。
ユリイカ」のインタビューで浦沢直樹松本大洋古谷実のファンであると公言している監督は、もともと漫画家志望で作品のなかでは 監督が自ら絵コンテを描いているのが、DVDの特典などで確認できる。日本漫画の映画的なショットをかなり自作に取り入れているようである。

またこのインタビュー内で気になるのが「松本大洋さんの「鉄コン筋クリート」−アニメーションではなく原作のマンガのほうですがーがとても面白くて」と話しているところであり、いかに「マンガ」の持つ独特なアプローチに拘りがあるのかが、ここで伺えるように思う。
なおこの特集ムックのなかでは前述の黒沢清氏と斉藤環氏の対談があり、黒沢監督自ら、自作とポン作品の共通点を認めている。そして

「僕も「グエムル」が日本映画にどう影響するかは大いに期待しました。(中略)しかし残念ながら「グエムル」は日本ではヒットしなかった」

と語るとおり、日本を含めハリウッドでも、自国以上の観客動員は見込めなかった。


まるまる風刺対象となったアメリカや、監督の創作の大きな基点となっているだろう日本でこの作品が多くの人に観られなかったのは皮肉なことである。
ここから考えるのは、アメリカの観客は自国の本当の政治事情に疎く(または目を瞑り)、日本の場合はその映像感覚の疎さに問題があるということだ。
隣国の作家がこのように日本の「画」を研究しているのに、自国の映画制作者がそれに適わず、大衆の観る目も向かないというところに悔しさを感じる。






そして

ついにバンドデシネが原作の、ポン・ジュノ新作『雪国列車』が公開決定だ!。

キャストはグエムルの父親役ソン・ガンホと、娘役のコ・アソンらしい。




グエムル-漢江の怪物-(グエムル はんがんのかいぶつ)」 2006 予告

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