映像画日記

アニメーターの絵と映画と読書の記録

カサンドラ・クロス

 




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 午前十時の映画祭

 

 

 

スイス・ジュネーブの国際保健機構に侵入したテロリストが、そこで米軍が極秘裏に開発していた病原菌に感染、そのまま大陸縦断特急に乗り込んだ。米軍のマッケンジー大佐(バート・ランカスター)は、事件を闇に葬るため、列車を崩落寸前のカサンドラ大鉄橋に追い込み、乗客全員を抹殺しようと企む。医師のチェンバレン博士(リチャード・ハリス)と元妻のジェニファー(ソフィア・ローレン)は、乗客たちを率いてその陰謀に立ち向かうが――。

 

 

疾走するヨーロッパ大陸縦断特急を舞台に展開するサスペンス・アクション。イタリアの大プロデューサー、カルロ・ポンティとイギリスTV業界の大立者、ルー・グレイドが手を組んだ超大作に米・英・伊の豪華スターが結集。ジョルジ・P・コスマトス監督は、スケール感溢れる空撮や銃撃戦のアクション描写に鋭い切れ味を見せている。

 

1977年お正月の洋画興行は、リメイク版『キングコング』と『カサンドラ・クロス』の対決で大いに盛り上った。

前者の配給は東宝東和、後者の配給は日本ヘラルド。ライバル関係にあった両社はかつてない物量攻勢で宣伝を繰り広げ、その結果、公開館数の差もあり、『~コング』が配収30億超え、『カサンドラ~』は15億超えで『コング』の勝利に。

だが興行で負けたとはいえ、『カサンドラ・クロス』の大健闘は多くのファンの記憶に残ることとなった。

 

 

オールスター・キャストによるパニック・サスペンス。

 

日本では1977年お正月映画として公開され、当時大ヒットを記録したことも懐かしい国際派豪華キャスト競演の大作。前半は各キャラクターが織りなす人間ドラマ、後半は列車の運命をめぐる、CIAのマッケンジーチェンバレン博士の駆け引きがメインのサスペンスという趣向。クライマックスに向けてテンションが少しずつ上がっていく演出が見事で、米国の王道パニック映画とはひと味違った、ひねりの効いた展開に驚かされる。 名匠J・ゴールドスミスが手かけた、甘美なメロディーが耳に残るテーマ曲もすばらしい。

 

 

撮影は「ブラザー・サン、シスター・ムーン」のエンニオ・グァルニエリ、脚本はコスマトス、ロバート・カッツ、トム・マンキーウィッツ音楽はジェリー・ゴールドスミス

 

出演はバート・ランカスターソフィア・ローレンリチャード・ハリスエヴァ・ガードナーマーティン・シーンイングリッド・チューリンリー・ストラスバーグ、ジョン・フィリップ・ロー、アン・ターケル、O・J・シンプソン、レイモンド・ラヴロックなど

 

リー・ストラスバーグ初めて演技を観た。ラストのアクションシーンが容赦なく、特撮も見応えあった

 

 

 

1976年製作/128分/G/イタリア・イギリス合作

原題:The Cassandra Crossing

劇場公開日:1978年12月18日

 

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