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ヒッチャー 新文芸坐

 

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クリストファー・ノーラン、J・Jエイブラムスが絶賛のサイコ・スリラーが鮮やかに帰還 2019年7月に75歳でこの世を去った名優ルトガー・ハウアー

彼の代表作『ヒッチャー』(86)が、公開から35年の時を経て『ヒッチャー ニューマスター版』として還ってくる。

HDリマスター化されたニューマスターでの劇場公開は日本が世界初。 見知らぬ男を車に乗せた事から始まる恐怖の追跡劇は、公開当時アメリカ全土に“恐怖のヒッチハイカー”というトラウマを植え付けた。

シンプルなストーリーながら、「ヒッチコックの要素を昇華している」とも評される展開が異様な緊張感を持続させることに成功、と同時にド派手なアクションの連続で、観る者に恐怖と興奮を与える傑作である。

 

監督は、本作が第一作目となったロバート・ハーモン。

J・J・エイブラムス監督は『10 クローバーフィールド・レーン』(16)製作時に本作の影響を受けていることを明かしている。

撮影は『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(15)のジョン・シールが担当。 ある日突然命を狙われ逃げ惑う青年ジム役を務めたのは、フランシス・フォード・コッポラ監督『アウトサイダー』(83)の主役に抜擢されたC・トーマス・ハウエル

あらゆる手段でどこまでもジムを追う、神出鬼没で不気味な殺人鬼ジョン・ライダーを演じるのは、『ブレードランナー』(82)で演じたレプリカント同様、冷たくも惹きつけられるキャラクターとしての魅力を倍増させているルトガー・ハウアー

 

クリストファー・ノーラン監督はこのハウアーの怪演を「渾身のサイコパフォーマンス」と絶賛しており、自身の作品『バットマン ビギンズ』(05)で彼を起用した。

未知なる悪と遭遇し、追い詰められゆく限界の世界で、青年は何を見出し選択するのか。追う者と追われる者が自ら投じていく究極の運命を、今ふたたび目撃する時が来た。

 

 

 

撮影:ジョン・シール John Seale

1942年、オーストラリアで生まれる。オーストラリアで撮影監督として活躍後、同じくオーストラリア出身のピーター・ウィアーアメリカで監督し大ヒットした『刑事ジョン・ブック/目撃者』(85)の撮影を手がける。

ウィアー監督とはその後も『モスキート・コースト』(86)『いまを生きる』(89)で協働している。『ヒッチャー』の後は、『レインマン』(バリー・レヴィンソン、88)、『イングリッシュ・ペイシェント』(アンソニー・ミンゲラ、96)、『コールド マウンテン』(同、03)、『ハリー・ポッターと賢者の石』(クリス・コロンバス、01)、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(15)などで撮影監督を務めている。

 

 

シカゴからサンディエゴまでキャディラック・セヴィルを陸送していた青年は、最後にダッジ・ラムチャージャーでサイコ殺人者と対決する。

高級セダンとワイルドなSUVが選ばれたのは偶然ではない。キャデラックは穏健な高級車で、快適さと安心を提供する。 ダッジは、ハリウッド映画では伝統的にアウトローの乗るクルマだ。古くは『ブリット』、『バニシング・ポイント』などが知られているし、最近でも『ナイトクローラー』でジェイク・ギレンホールダッジ・チャレンジャーで激走した。

2台のクルマは、人を疑うことを知らない無垢な青年が試練を経て大人に成長していく課程を象徴しているのだ。

鈴木真人/自動車ライター

 

 

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