学生や小津映画を観たことがない若い人に薦めるとき、『東京物語』等を推しがちだけど、この唯一大映で撮った『浮草』が導入としては意外と良いのではないかと思った。 https://t.co/LzlgIYOd1u
— すみ (@5050_don) 2017年6月7日
1959年大映作品。前々作の「彼岸花」で山本富士子を借りたお返しに、大映で制作した作品。しかも1934年の自作「浮草物語」(サイレント)のリメイク。
概要[編集]
1934年に松竹蒲田撮影所で製作した『浮草物語』を監督自らがリメイクした作品。宮川一夫撮影によるアグファのカラー映像が旅役者の世界の情緒を際立たせる作品である。本作は、小津が第二の故郷である地元三重県でロケーション撮影した唯一の映画でもある。三重県志摩郡浜島町、大王町、阿児町、東京都あきる野市の五日市駅、神奈川県茅ヶ崎市の茅ヶ崎海岸などで撮影された。
『浮草物語』では「信吉」役で三井秀男(後の三井弘次)が出演していた。2作ともに出演したのは三井だけである[1]。なお、笠智衆も『浮草物語』に芝居小屋の客(「高嶋屋!」と声をかける男)として出演しているが、ノンクレジットである。
本作は1958年に『大根役者』として松竹で撮影するはずで、主要キャストは進藤英太郎・淡島千景・有馬稲子・山田五十鈴が予定されていた。佐渡や新潟でロケハンまで済ませたが、この年の雪が少なく、撮影を断念した。翌1959年、『彼岸花』(1958年)の制作で大映の女優山本富士子を借りた見返りに、大映で撮影することになった[2]。
あらすじ[編集]
旅回りの駒十郎一座の乗った船が港に着いた。駒十郎は一膳飯屋にお芳を訪ね、その昔二人がもうけた清も今では郵便局に勤めていると知って安心する。清には駒十郎はお芳の兄ということになっていた。駒十郎の連れ合いのすみ子は、清のことを不審に思い加代に清を誘惑してくれるよう頼む。加代と清は恋仲になり、それを知った駒十郎は加代とすみ子を激しく叱りつける。客入りの悪くなった一座は解散することになり、駒十郎と清は加代を巡って対立する。お芳は清に駒十郎が実の父親だと打ち明けるが、清は許さず、駒十郎は気が抜けたように立ち去る。駅に行くとすみ子が待っていて、二人は車中の人となるのだった。
スタッフ[編集]
- 監督:小津安二郎
- 製作:永田雅一
- 企画:松山英夫
- 脚本:野田高梧、小津安二郎
- 撮影:宮川一夫
- 美術:下河原友雄
- 音楽:斎藤高順
- 録音:須田武雄
- 照明:伊藤幸夫
- 色彩技術:田中省三
- 装置:原島徳次郎
- 装飾:岩見岩男
- メークアップ:牧野隆
- 舞踊振付:花柳寿恵幸
- 舞台指導:上田吉二郎
- 助監督:中村倍也
- 編集:鈴木東陽
- 製作主任:松本賢夫
- 現像:東京現像所(アグファカラー)
キャスト[編集]
- 嵐駒十郎:中村鴈治郎
- すみ子:京マチ子
- 本間清:川口浩
- 加代:若尾文子
- 清の母お芳:杉村春子
- 小川軒のあい子:野添ひとみ
- 相生座の旦那:笠智衆
- 吉之助:三井弘次(松竹)
- 矢太蔵:田中春男
- 杉山:入江洋佑
- 木村:星ひかる
- 仙太郎:潮万太郎
- 座員しげ:浦辺粂子
- あい子の母:高橋とよ
- 梅迺家のおかつ:桜むつ子(松竹)
- 梅迺家の八重:賀原夏子
- 扇升の孫正夫:島津雅彦(劇団若草)
- 古道具屋:菅原通済
- 六三郎:花布辰男
- 扇升:伊達正
- 亀之助:中田勉
- 船員:三角八郎
- 庄吉:丸井太郎
- 爺さんの客:酒井三郎
- 船着場の係:杉田康
- 小川軒の客:南方伸夫
- 郵便局員:志保京助
- 梅の家の親爺:佐々木正時
- ジョー・オハラ
- あい子の父:宮島健一
- 飛田喜佐夫
- 小屋の男徳造:丸山修
- 長太郎:藤村善秋
作品データ[編集]
- 製作:大映東京撮影所
- フォーマット:カラー/スタンダードサイズ(1.37:1)/モノラル
- 初回興行:
- 同時上映:
音楽は斉藤高順
斎藤高順アーカイブス - 小津安二郎の映画音楽 Soundtrack of Ozu
下河原友雄の美術
なんだろこれ。読みたい。