橋本忍『私は貝になりたい』@ 新文芸坐。ひとりの善良な市民が戦犯として裁かれ、極刑に処せられる。戦争の不条理と残酷を等身大で描いて価値ある作品。ここぞという芝居場で長回しで迫る橋本忍の演出は初監督とは思えないほど、あるいは監督第3作と同じ人物とは思えないほど堂に入っている。
— 磯田勉 (@isopie_) 2015, 8月 16
堀川弘通『激動の昭和史 軍閥』@ 新文芸坐。東宝のみならず日本映画で太平洋戦争の流れを俯瞰的に描いた劇映画は意外や本作くらいか。どうして戦争になだれ込んでいったかダイジェストとしてよくまとまっており、ひとつの日本人論としても秀逸。映像による教科書として鑑賞を薦めたい啓蒙的な作品。
— 磯田勉 (@isopie_) 2015, 8月 16
『激動の昭和史 軍閥』冷静沈着な指導者から狂信的な独裁者へ、国民感情の変化につれて変わってゆく東條英機の性格を小林桂樹の熱演が表現している。加山雄三ら新聞記者のヒロイックな行動を描くと同時に、メディアの責任とその奥にある付和雷同で無責任な日本人の精神性をもきっちり描いている。
— 磯田勉 (@isopie_) 2015, 8月 16
『激動の昭和史 軍閥』は1970年1月に円谷英二が死去したために、8月公開の本作は新しい特撮場面は皆無。古くは『ハワイ・マレー沖海戦』から『太平洋の嵐』『山本五十六』までこれまでの東宝戦争映画から特撮フィルムを流用しており、いわば戦争映画版『ゴジラ対ガイガン』みたいな作品である。
— 磯田勉 (@isopie_) 2015, 8月 16
『激動の昭和史 軍閥』東宝戦争映画の一種の総棚ざらえのような作品なので、山本五十六役の三船敏郎などはかつてと同じ場面を再演している。もし円谷英二が存命なら、この映画の特撮場面はもう一度新たに撮り直したのだろうか。それとも最初からライブラリーの流用込みの企画だったのだろうか。
— 磯田勉 (@isopie_) 2015, 8月 16